50代からの死亡保障の必要性:種類別の特徴と選び方
50代で考える死亡保障の必要性とは?
50代になり、お子様が独立したり、住宅ローンの目処が立ってきたりと、人生の節目を迎える方もいらっしゃるかもしれません。一方で、ご自身の将来や、もしものことがあった場合に残されるご家族のことを考え、漠然とした不安を感じることもあるのではないでしょうか。
生命保険の死亡保障は、もしものことがあった場合に、残されたご家族の生活費や葬儀費用などをまかなうための大切な備えです。50代という年代で、改めて死亡保障について考えることは、今後のライフプランを立てる上で重要なステップと言えるでしょう。
この年代で死亡保障を考える必要性としては、主に以下の点が挙げられます。
- 残された家族の生活費: 配偶者やまだ経済的に独立していないご家族がいる場合、収入の減少を補う必要があります。
- 葬儀費用や整理資金: 葬儀にかかる費用や、身辺整理のための資金が必要となる場合があります。
- 負債の整理: 住宅ローンなどの負債がある場合、残されたご家族に負担がかからないように準備しておくことが考えられます。
- 公的制度とのバランス: 国からの遺族年金などの公的な保障がどの程度受けられるのかを確認し、不足分を保険で補うという考え方もできます。
この記事では、50代における死亡保障の必要性や、必要な保障額の考え方、そして様々な保険の種類とそれぞれの特徴、選び方について分かりやすく解説します。
死亡保障の必要額はどのように考える?
死亡保障で備えるべき金額は、ご家族の状況や将来のライフプランによって大きく異なります。一律に「いくら必要」と決まっているわけではありませんが、一般的な考え方を知っておくことは参考になります。
必要な死亡保障額を考える際は、主に以下の要素を考慮します。
- 将来必要な生活費: 残されるご家族(配偶者、まだ独立していないお子様など)が、今後生活していくために必要となるであろう金額です。お子様の年齢や、配偶者の方の働き方などによって変動します。
- 公的な保障(遺族年金など): 国の制度として、もしものことがあった場合に遺族に支給される年金(遺族年金)があります。これらを加味して、保険で備えるべき「不足分」を計算するのが一般的です。遺族年金の受給要件や金額は、亡くなった方の加入状況や遺族の状況によって異なりますので、確認が必要です。
- 現在の貯蓄や資産: ご家族が利用できる貯蓄や、相続可能な資産があれば、それらを生活費などに充てることも考えられます。
- 負債: 住宅ローンなどの負債があれば、それを清算するための資金が必要になるかどうかも考慮します。
これらの要素を総合的に判断し、必要な保障額を検討します。例えば、遺族年金や貯蓄で将来の生活費の一部はまかなえるため、必要な保障額は総生活費からそれらを差し引いた金額が目安となる場合があります。
具体的な金額はご家族の状況次第ですが、まずは「何に」「いくらくらい」必要になりそうかをリストアップしてみることから始めると考えやすくなります。
死亡保障の種類別特徴と50代での検討ポイント
死亡保障を備えるための保険には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を知り、ご自身の状況に合ったものを選ぶことが重要です。
ここでは、代表的な死亡保障の保険種類とその特徴、50代で検討する際のポイントをご紹介します。
1. 定期保険
- 特徴: 一定の保険期間(例:10年、60歳までなど)だけ保障が得られる保険です。保険期間中に被保険者(保険の対象となっている方)が亡くなった場合に保険金が支払われます。保険期間が満了すると保障は終了します。貯蓄性はなく、保険料は掛け捨てとなるのが一般的です。
- メリット: 同じ保障額であれば、終身保険などに比べて保険料が比較的安く抑えられる傾向があります。必要な期間だけ大きな保障を用意したい場合に適しています。
- デメリット: 保険期間が終了すると保障がなくなります。更新できる商品もありますが、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、保険料が大幅に高くなることが多くあります。
- 50代での検討ポイント: お子様が独立するまでの期間や、住宅ローンを完済するまでの期間など、「〇歳まで」「〇年間」というように、特定の期間だけ重点的に保障を手厚くしたい場合に有効です。ただし、保険期間満了後の保障をどうするか、更新時の保険料負担に耐えられるかなどを考慮する必要があります。
2. 終身保険
- 特徴: 保障が一生涯続く保険です。いつ亡くなっても保険金が支払われます。解約時には、払い込んだ保険料に応じた解約返戻金(かいやくへんれいきん)が受け取れる場合が多く、貯蓄性も兼ね備えているのが一般的です。
- メリット: 一度加入すれば保障が一生涯続くため、更新の必要がなく、保険料も加入時から変わりません(払い込み期間を設定した場合)。解約返戻金を老後資金の一部に充てるなど、貯蓄目的も兼ねられます。
- デメリット: 同じ保障額で比較すると、定期保険よりも保険料は高くなります。特に50代からの加入では、保険料負担が大きくなる可能性があります。加入後短期間での解約は、解約返戻金が払い込み保険料を下回る(元本割れする)ことが多くあります。
- 50代での検討ポイント: 将来にわたって必ず死亡保障を残したい、お葬式代など必ず必要になる資金を準備しておきたいといった場合に適しています。また、解約返戻金を老後資金の一部として活用したいという目的でも検討されることがあります。ただし、保険料が生涯続く(または長期にわたる)ため、無理のない保険料設定が重要です。
3. 養老保険
- 特徴: 保険期間中に被保険者が亡くなった場合は死亡保険金が、満期まで生存していた場合は死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れる保険です。保障と貯蓄機能がセットになった保険と言えます。
- メリット: 満期まで生存すれば保険金を受け取れるため、死亡保障を準備しながら将来の資金も同時に準備できます。
- デメリット: 死亡保障と貯蓄の両方を兼ねているため、定期保険や終身保険(保障額のみで比較した場合)に比べて保険料は最も高くなります。
- 50代での検討ポイント: 「〇歳までに〇〇万円貯めたい」といった明確な目標があり、その目標達成と期間中の死亡保障をセットで準備したい場合に検討できます。しかし、保険料負担が大きくなりやすいため、慎重な検討が必要です。
50代からの死亡保障選びのポイント
ご自身の状況に合った死亡保障を選ぶために、以下の点を踏まえて検討することをおすすめします。
- 必要な保障額と期間を明確にする: まずは「誰のために」「いつまで」「いくらくらい」の保障が必要なのかを具体的に考えます。遺族年金や貯蓄でどの程度まかなえるのかも考慮に入れましょう。
- 保険料負担は適切か: 50代からの加入では、保険料が高くなりやすい傾向があります。無理なく払い続けられる保険料であるかが最も重要です。家計全体を見直し、保険にかけられる金額を把握しましょう。
- 健康状態を正直に申告する: 現在の健康状態や既往症によっては、加入できる保険の種類が限られたり、保険料が割増しされたり、特定の病気が保障対象外となることがあります。健康状態を正確に告知することが重要です。引受基準緩和型保険や無選択型保険など、健康状態に不安がある方向けの商品もありますが、一般的に保険料は割高になります。
- 複数の保険商品を比較検討する: 同じ保険種類でも、保険会社によって保障内容や保険料は異なります。複数の保険商品を比較検討することで、ご自身のニーズに最も合った保険を見つけやすくなります。
まとめ:50代で死亡保障を考えるステップ
50代で死亡保障について考えることは、ご家族の安心に繋がる大切なステップです。
- 死亡保障が必要か、必要ならいくら必要かを考える: 残されるご家族の状況や公的な保障、ご自身の資産などを踏まえ、必要な保障額や期間の目安を立てます。
- 保険の種類ごとの特徴を理解する: 定期保険、終身保険、養老保険など、それぞれのメリット・デメリットを知り、ご自身の目的に合った保険種類を検討します。
- 無理のない保険料で加入できる商品を探す: 保障内容だけでなく、継続して払い続けられる保険料であるかが重要です。
- 健康状態を踏まえ、加入できる保険を確認する: 健康状態によっては、加入可能な保険が限られることがあります。
死亡保障は、ご自身の万が一の際に、残された大切なご家族の生活を支えるための備えです。ご自身の現在の状況や将来の希望を踏まえ、最適な保険選びを進めてください。保険会社や保険の専門家に相談することも、ご自身の状況に合った保険を見つけるための一つの方法です。