50代からの保険料を抑える見直し術:無駄をなくして家計を守る方法
50代からの保険料を抑える見直し術:無駄をなくして家計を守る方法
50代に入ると、お子様の独立、住宅ローンの完済など、ライフステージに変化が多く訪れる時期です。同時に、将来の医療費や介護費、そして老後資金への備えなど、お金に関する不安も感じやすくなるかもしれません。
そうした中で、毎月、あるいは毎年支払う生命保険料が家計の負担に感じられることもあるのではないでしょうか。「この保険は本当に今の自分に必要なのだろうか」「もう少し保険料を抑える方法はないのだろうか」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、50代という年代特性を踏まえ、保険料を賢く見直して家計の負担を減らすための具体的な方法や、見直しを進める上での注意点について詳しくご説明します。ご自身の状況に合わせて、無理なく必要な保障を準備するためのヒントとしてお役立てください。
なぜ50代で保険料負担が気になるのか
50代で生命保険料の負担が気になるようになる背景には、いくつか理由が考えられます。
- 年齢の上昇: 一般的に、生命保険料は加入時の年齢が高くなるほど保険料も高くなる傾向があります。若い頃に加入した保険も、年齢とともに少しずつ保険料が上がっているタイプのものや、更新時に保険料が大幅に上がるタイプのものもあります。
- ライフプランの変化: お子様の独立などで、以前必要だった死亡保障額が過剰になっている場合があります。また、住宅ローンの完済などで、団体信用生命保険の保障が不要になるなど、必要な保障内容自体が変わることもあります。
- 老後資金準備との両立: 老後資金を計画的に準備する必要性を感じ始める時期であり、保険料の支払いがその負担となっていると感じることもあります。医療費や介護費など、目先の心配事への備えと、将来の資金準備のバランスを考える必要が出てきます。
- 健康状態の変化: 年齢とともに健康診断の結果が気になったり、通院歴が増えたりすることもあるかもしれません。現在の保険を見直したいけれど、健康状態によっては新しい保険に加入しにくくなるのでは、という不安から、今の保険料負担を受け入れてしまっているケースも考えられます。
こうした状況を踏まえ、今の保険がご自身の現状と将来のニーズに合っているかを見極めることが、保険料負担を適切にする第一歩となります。
保険料を抑える見直しの基本的な考え方
保険料を抑えるための見直しを始める前に、基本的な考え方を整理しておきましょう。重要なのは、「保険料を安くすること」だけを目的とせず、「必要な保障を適切な保険料で準備すること」を目指す点です。
- 現在の保障内容を確認する: まずは、加入している保険の保険証券などを確認し、どのような保障内容で、保険料がいくらかかっているのかを把握します。死亡保障、医療保障、がん保障、介護保障など、それぞれの保障額や保険期間、保険料払込期間などを正確に理解することが重要です。
- 将来のライフプランとリスクを整理する: 今後どのようなライフイベントが考えられるか、どのようなリスク(病気、ケガ、介護、万一のことなど)に備えておきたいかを具体的に考えます。例えば、お子様が独立すれば、万一のことがあった場合の教育費や生活費の保障は不要になるかもしれません。老後の医療費や介護費にどのくらい備えておきたいかなど、具体的なニーズを洗い出します。
- 必要な保障と現在の保障内容を比較する: 整理した将来のニーズと、現在の保険で準備されている保障内容を比較します。現在の保障が過剰になっている部分は保険料削減の検討余地があります。逆に、足りないと感じる部分があれば、その部分をどう補うか考えます。
このステップを経て、「無駄な保障がないか」「本当に必要な保障は何か」が見えてきたら、具体的な見直し方法を検討していきます。
具体的な保険料を抑える見直し術
現在の保険内容と将来のニーズが整理できたら、実際に保険料を抑えるための具体的な方法を検討しましょう。
1. 保障額を減額する
死亡保障や医療保障など、現在契約している保険の保障額が必要以上に高額である場合、保障額を減らすことで保険料を抑えることができます。
- 例: お子様が独立し、ご夫婦二人の生活になった場合、以前のような高額な死亡保障は不要になるケースが多くあります。必要保障額を見直して、適切な金額に減額することで、保険料負担を大きく軽減できる可能性があります。
ただし、一度減額した保障額を後から元に戻すことは、原則としてできません。また、減額することで保険種類によっては解約返戻金が減少することもありますので、慎重に検討することが大切です。
2. 特約を見直す
主契約に付加している特約の中に、今はあまり必要性を感じないものや、他の保険でカバーできているものがあれば、その特約だけを解約することで保険料を抑えることができます。
- 例: 入院給付金や手術給付金に関する特約、特定の病気(がん、心疾患、脳卒中など)に備える特約、先進医療特約など、様々な特約があります。ライフスタイルや他の保険の加入状況に合わせて、不要な特約を整理できないか確認してみましょう。
特約によっては、主契約と同時に解約する必要がある場合や、特約を解約することで主契約の保障内容が影響を受ける場合もあります。また、将来的に必要になる可能性がある特約を安易に解約してしまうと、後から同じ条件で再加入できない可能性もありますので注意が必要です。特に、先進医療特約は万が一の高度な治療に備えるために必要性が高いと感じる方も多い特約ですので、安易な解約はおすすめできません。
3. 払済保険や延長保険への変更
貯蓄型の保険(終身保険や養老保険など)に加入している場合、現在の契約を払済保険(はらいずみほけん)や延長保険(えんちょうほけん)に変更することで、以降の保険料の支払いをなくすことができます。
- 払済保険: 保険料の払い込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、保険期間を変えずに保障額の少ない同種類の保険に変更する方法です。保険料負担はなくなりますが、死亡保障額などは減額されます。ただし、将来的な解約返戻金は元の契約よりも多くなる傾向があります。
- 延長保険: 保険料の払い込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、元の死亡保障額は変えずに、保険期間を短縮した定期保険に変更する方法です。保険料負担はなくなり、元の死亡保障額は維持されますが、保険期間が短くなるため、保障が一生涯続く終身保険などから変更した場合は、将来的に保障がなくなります。
これらの方法は、保険料負担をなくしたいけれど、ある程度の保障は残しておきたい場合に有効な選択肢となり得ます。ただし、元の契約に付加していた特約は消滅する場合がほとんどですので注意が必要です。
4. 解約
現在の保険を解約し、別の保険に新規で加入し直す、あるいは保険以外の方法(貯蓄など)でリスクに備える、という選択肢です。
- メリット: 保障内容を全面的に最新のニーズに合わせることができ、より保険料の安い商品が見つかる可能性もあります。
- デメリット: 特に年齢が上がってからの加入は、一般的に保険料が高くなります。また、健康状態によっては新しい保険に加入できない可能性や、加入できても保障内容に条件(部位不担保など)が付く場合があります。貯蓄型の保険の場合、加入から間もない時期に解約すると、支払った保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる元本割れのリスクが伴います。解約は最も影響が大きい選択肢ですので、現在の保険のメリット・デメリット、新しい保険に加入できる可能性、そして解約による損失などを十分に比較検討し、慎重に判断する必要があります。
5. 保険会社の乗り換え・比較
現在の保険料が高いと感じる場合、他の保険会社の同等または似たような保障内容の保険と比較検討することで、より保険料の安い商品が見つかる可能性があります。
- 注意点: 保険料が安くても、保障内容が希望するものと異なっていたり、将来的な保険料の上がり方が違ったりすることもあります。単純な保険料の比較だけでなく、保障内容、保険会社の信頼性、サービスなども含めて総合的に判断することが重要です。また、新しい保険に加入してから現在の保険を解約するなど、保障の空白期間ができないように手続きの順序にも注意が必要です。
6. 払込期間の変更(可能な場合)
保険によっては、保険料の払込期間を短くすることで、将来の保険料負担をなくすことができる場合があります。例えば、終身払いの契約を60歳払込満了に変更するなどです。
- 例: 終身払いを60歳払込満了に変更した場合、60歳以降の保険料負担はなくなりますが、その分、60歳までの毎月の保険料は上がります。総支払保険料額は、払込期間を短くした方が多くなるケースが一般的ですが、老後の保険料負担をなくしたい場合には有効な方法です。
契約途中で払込期間を変更できる保険は限られていますので、ご加入中の保険会社に確認が必要です。
50代が見直しで特に注意したいポイント
50代で保険見直しを行う際には、特に注意しておきたい点があります。
- 健康状態の変化: 新しい保険に加入する際には、健康状態の告知が必要です。50代になると、若い頃と比べて持病があったり、通院歴が増えたりすることが考えられます。健康状態によっては、希望する保険に加入できなかったり、保険料が割増されたり、特定の病気や部位が保障の対象外(部位不担保など)になったりする可能性があります。現在の保険を解約する前に、新しい保険に加入できるかを必ず確認することが重要です。
- 保障の空白期間: 現在の保険を解約してから新しい保険に加入しようとした場合、手続きに時間がかかったり、審査に通らなかったりするリスクがあります。保険に加入していない期間に万が一のことがあった場合、保障を受けることができません。必ず、新しい保険の契約が成立してから、現在の保険を解約するように手続きを進めるようにしましょう。
- 解約返戻金の元本割れ: 貯蓄型の保険を途中で解約した場合、特に加入から年数が経っていないと、支払った保険料の総額よりも戻ってくるお金(解約返戻金)が少なくなる元本割れのリスクがあります。解約返戻金は、保険料の一部が将来のために積み立てられているものですが、保険会社の経費などが差し引かれるため、早期に解約すると元本割れしやすい仕組みになっています。現在の保険の解約返戻金がいくらになるのか、契約内容をしっかりと確認しましょう。
- 必要な保障は何かを冷静に見極める: 保険料を抑えることに意識が向きすぎると、本当に必要な保障まで削ってしまうリスクがあります。老後の医療費や介護費用、葬儀費用など、50代から60代以降に発生する可能性のある費用やリスクに対して、どの程度備えが必要なのかを冷静に見極めることが重要です。保険だけでなく、預貯金や公的保障(健康保険、介護保険など)でカバーできる部分も考慮に入れて、必要な保障額を検討しましょう。
見直しを進めるステップ
保険の見直しをスムーズに進めるために、以下のステップを参考にしてみてください。
- 現在の保険内容の確認と把握: 保険証券などで、加入している保険の種類、保障内容、保険料、払込期間、契約日、解約返戻金などを正確に把握します。分からない点があれば、保険会社に問い合わせて確認しましょう。
- 将来のライフプランと必要な保障の整理: 今後のご自身の生活(退職時期、老後の生活費、考えられるリスクなど)を具体的に考え、どのような保障が、いつまで、いくら必要なのかを整理します。
- 保険料を抑えるための具体的な方法を検討: 現在の保険内容と必要な保障を比較し、保障額の減額、特約の見直し、払済・延長保険への変更、他の保険との比較検討など、ご自身の状況に合った方法を検討します。
- 専門家や保険会社への相談: ご自身だけで判断が難しい場合や、複数の選択肢で迷う場合は、保険会社の担当者やファイナンシャルプランナーなど、保険の専門家に相談してみるのも良い方法です。複数の保険会社の情報を提供してくれる窓口もありますので、セカンドオピニオンを聞いてみるのも有効です。現在の健康状態を伝えた上で、新しい保険に加入できるか、どのような条件になるかなどを事前に確認しておくことも重要です。
まとめ
50代からの保険見直しは、単に保険料を安くするだけでなく、変化するライフステージに合わせて必要な保障を確保し、家計の負担を適正化するための重要な機会です。保障内容の確認、将来のニーズの整理、そしてご自身の健康状態を考慮した上で、保障額の減額や特約の見直し、場合によっては保険会社との比較検討など、様々な方法があります。
見直しを進める上では、保障の空白期間を作らないこと、そして解約返戻金の元本割れリスクなどを理解しておくことが大切です。焦らず、ご自身の状況に合わせて、一つ一つ丁寧に進めていくことをおすすめします。ご自身にとって最適な保険の形を見つけることができれば、今後の家計管理や将来への安心感に繋がるはずです。